2003年08月01日

■実録■土壁の家ができるまで

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木造2階建て、4間角の方形屋根。家の中心には尺角の大黒柱、壁には壁土を塗り、シックイにての真壁仕上げとしています。外壁は真壁仕上げと土壁を保護するために杉の目板張りとしています。道に面して木格子やパーゴラなど、いくつかの形態上の特徴を持った木の家の工事経過をご覧ください。

設計:一級建築士事務所 木住研
施工: 風基建設(株)


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伝統的な組み手や差し口を用いた架構形式で、貫に土塗り壁という昔からあった構法を現代の住宅に活かします。
昔から今に受け継がれている技術は、それだけ普遍性が高いものだと理解しています。
そして、それぞれの職人に受け継がれた技があってこそ実現できる家づくりです。また、次代へも引き継がれていけるものでしょう。

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 ・基礎
 ・建て方
 ・小舞・土壁
 ・屋根
 ・完成

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 ※東村山の木の家情報シート
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2003年08月02日

とこしづめのまつり

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工事を行なう前には地鎮祭を行なって大地の神々に感謝し、工事が安全に完了するように祈ります。4本の竹を立て、しめ縄をめぐらして神聖な領域をつくりますが、このときばかりは毎回、日本人だなぁと思いますね。
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地縄張り

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神聖な領域を中心にして建物のおおよその形がビニールひも(地縄)で地面に描かれています。これから建つ建物の位置を示しています。図面上では確認していても、庭をもう少し広く取れるか、道路からはもう少し離せるかなど実物大で再確認することが大切になります。
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2003年08月06日

水盛り遣り方

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敷地に建物の建つ位置を正確にしるすための基準を作ります。地縄より一回り大きく柵を巡らします。この作業を遣り方(やりかた)と呼びます。ここでは建物位置の確認がもっとも重要ポイントです。屋根が隣地へ飛び出てしまうかもしれませんからね。

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柵となっている板を遣り方貫(やりかたぬき)といいますが、この上端を水平にするためにレベル(水準器)をのぞきながら同じ高さで遣り方杭に釘打ちします。これで建物の高さの基準が決まりました。例えば、基礎天端より15cm高い位置などにしたりします。ここでは写真右側に多少下がり気味に傾斜した敷地でしたので、高さの基準の決め方に注意しました。
遣り方貫に通り芯(柱の中心の位置)を印しています。黄色の水糸がピンと張られていますがこれが通り芯となり、土をどの程度掘るのかを計るときなどの高さの基準となるのです。ちなみに、遣り方杭の頭をV字にしているのはイスカ切りといって、杭頭に何かぶつかったかなどが後で分るように、また注意を促す意味もあるようです。
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2003年08月08日

地業1(土工事)

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コンクリートの基礎工事を行う前に土を掘り、基礎の下に割栗石、目潰し砂利を敷き、十分な転圧をして地盤を締め固めます。これを地業工事といいます。

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突き固めにはランマーという転圧機を使っていますが、ここでは1t用の振動ローラーを併用し十二分にしっかりと地盤を締めました。
それは、地盤調査の結果から若干柔らかい層があることが分かり、しっかりと転圧する必要があると判断したからです。
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2003年08月23日

基礎1(鉄筋)

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ベタ基礎の配筋検査を行いました。耐圧盤(厚いコンクリートの床)の上下ダブルの配筋の間隔、かぶり厚さの確保などきれいに配筋されていました。コンクリート打ってからでは分からなくなる部分です。
田の字に見えるのはコンクリートの床にリブを廻して基礎全体を強固にするための地中梁。お隣からは「何が建つの?」といった質問を受けました。「木の家ですよ」とお答えすると。「へ〜ッ!」ですって。トリビアではありませんよ。

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2003年08月25日

基礎2(コンクリート打ち)

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耐圧盤のコンクリート打ち。可能な限り固いコンクリート打ってもらいました。
ここではポンプ車ではなく、シューター(大きな半円形の樋みないなもの)を使って打ちました。
耐圧盤上にもアンカーボルトを埋め込んでいますが、もちろん、コンクリートを打つ前に位置と本数を確認します。番線でくくりつけて固定しています。

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ミキサー車は一台ごとに納品書を提出してくれますが、そこにコンクリートの品質が書かれています。立ち会うときのチェック項目です。
今年はあまり厳しい夏の日差しでなかったのでまだ良かったのですが、コンクリートを急激に乾かさないようにすることも大切です。表面が固まってから水を撒くこともあります。今回は翌日に建て主さん自らホースで水を撒いていただきました。
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2003年09月02日

基礎3(基礎立ち上がり)

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耐圧盤の上に外周部分のみ布基礎の立ち上がりを設けています。型枠を組み、すでにコンクリートが打ちこまれた状態です。
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2003年09月06日

基礎4(基礎完成)

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型枠を外して、立ち上がりの布基礎も完成。形がシンプルなこともありますが、きれいに基礎が打ちあがるとホッとします。布基礎の型枠はコンクリートを打ってから5日目に外しました。寒い冬にはもう少し時間をとる必要があります。
1階の床束を乗せる束石(つかいし)が規則正しく並べられています。
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2003年11月13日

ネコ

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タイトルの「ネコ」はニャーゴの猫ではありません。猫とも書くようですが、根子と書いたりもします。今では商品名にもある基礎パッキンという用語も定着しました。基礎と土台の間に挟みこむ床下に換気をするためのパッキン材のことでネコ土台といいます。いまでは床下換気の標準仕様になりました。通気があることで土台下端も常に乾燥した状態でいられることは耐久性の向上につながります。技術としては昔からあった方法ですが、古くて新しい工法の一つといえますね。

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栗などの腐りにくい固い木を3cm程度の厚さで作ることもありますが、風基建設さんではベテランの左官の親方がモルタルで作っています。現場での一品生産です。
ネコの上端がすべて水平面になるようにつくることがポイントです。基礎を挟んで打ち付けた板の上端が水平にセットされています。
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下小屋では

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現場で基礎工事が進んでいる間に、下小屋では木工事が平行して進められています。
各伏図の情報を移し取り、骨組みの平面情報と刻みのための情報を盛り込んで書き入れられた手板と高さの情報を書き込んだ矩計棒(板に書いていましたが)、そして材木を見ながら、棟梁と骨組みの打合せをしてきました。(8月の下旬ごろ〜)

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2階の登り梁は根曲がり材の太鼓梁です。木が斜面に立っていたその形を小屋組みの梁として使います。丸みのある部分は丁寧に皮むきをしてもらいました。
建て方前の段階では、この梁がどのように組みあがっていくのか楽しみでした。

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上棟の予定もおおかた決まり、墨付け、刻みも建て方に向けてピッチを上げていく状況になってきました。
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2003年11月15日

土台敷き

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週明けに骨組みを組み上げる建て方に先立ち、1日かけて土台敷きが行なわれました。
何事においても土台は肝心ですが、土台は骨組みの足元をしっかりと固めるための役割を持っています。また、柱の位置や建物の形を決めるためにコンクリート基礎に固定されます。
長寿命の住宅にとっては土台の耐久性は重要ですから、ここでは腐りにくい芯持ち桧の5寸角材(150cm角)を使っています。
毎回のことですが、建て方の前は天気が気になります。
予報ではなんとか雨ではなさそうですが・・・。
こればっかりは、てるてる坊主にお願いするしかありませんね。
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2003年11月17日

建て方(1日目)

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心配した天気もてるてる坊主のおかげ(?)で、快晴の建て方日和で一安心。

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尺角(30cm角)の大黒柱はこの家の中心に建ち、四方から差さる尺梁をがっちりと受けとめて小屋梁も支えます。やっぱり、尺あると太いな〜という感じです。

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建て方はこの大黒柱を建て、足固めを差してその位置を決めてから順番に梁を差し、外側に広がるような手順で進められました。

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建物の四隅は桧7寸角の通し柱で固めています。外部は板張りのの大壁納まりになりますが、通し柱は真壁の納まりで外部に現しになるためちょっと太めです。
2階の床の高さでは、長さ4間(7.2m)、丈が尺(30cm)の胴差が差さり、建物の腰の部分をしっかりと固めます。小根ほぞ割り楔締めという仕口で楔をがっちりと打ち込みます。

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大黒柱を囲むように通し柱が立つ姿は、森の中で天に向かってそびえていた木が再び都市の中で次なる生を得ていくのだということを実感できる光景です。
木の家は都市に森を再生します。
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2003年11月18日

建て方2日目

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建て方2日目のこの日も天気に恵まれました。すでに2階の床梁掛けられ、床の骨組みが決まっています。胴差や梁に2階の管柱が立て込まれていきます。

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その縦に伸びる柱をつらぬき、編むような感じで貫が並んでいます。柱には楔を打ち込んで固めます。ちょうど柱と貫で大きな粘り強いカゴを造っているイメージになり、これが伝統的な架構をつくるための一つの方法です。
貫は下地ではなく構造材としての役割を持っていますから厚い方がいいですね。ここでは1寸厚の貫を使かっています。

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2階の柱が立てば次は軒桁の建てこみです。通し柱から通し柱の柱間4間(7.2m)を一本の軒桁で繋いでいます。ちょうど建物の頭に鉢巻をするようにぐるりと回して固めています。この軒桁部分を地回りと呼んだりしますが、上にあるのに地回りとはこれいかに?

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下小屋で見た根曲がりの登り梁が軒桁に取り付けられました。ここでは太い軒桁に京呂組という納め方です。
下で見たよりも小さく見えましたが、内部からはどのように見えるのか楽しみです。

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隅木を取り付けています。方形屋根は形としては最も安定した屋根架構です。
隅木が掛かる軒桁の納まりはねじ組みといって、複雑な加工になっていますが、組みあがってからでは分りません。
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2003年11月19日

建て方3日目

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建て方3日目。隅木の取り付けまでは昨日終えていましたので、その上に4寸角垂木を組み上げて建て方を完了。めでたく上棟の運びとなりました。
骨組み模型のように屋根の形がようやくわかる状態です。

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祝上棟

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完成した架構の前での記念撮影しましたが、建て主さんにとっては、ここまでの長い道のりを思い出されていたことでしょう。
工事工程の一つの大きな山は越えました。

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建物の四周に塩と米、お神酒でお清めしました。直会の席では、ここまでの関係者の名前を手板に書き込み、天井裏へ納めることにしました。

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2003年11月26日

厚野地板を張る

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上棟も無事に終わり、ゆがみ直しも済みました。上棟後少し雨が続きましたが、今日は快晴でスギ40mmの野地板を張っています。
野地板は室内側からはそのまま仕上げ材として現しになります。節もたくさんありますが、厚さが40mmあればぬけることはありません。むしろ、節は枝であったところで自然そのものです。
雨に影響されなくなる今週後半からは、土壁の下地になる小舞掻きが始まります。
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2003年11月27日

竹割り

小舞(こまい)は竹、葦、木などで作りますが、今回はもっとも一般的な割竹で作ります。
小舞用の製品として小舞竹も売られているようですが、風基建設さんでは竹を裂いて小舞竹を作っています。

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竹割の道具(4ッ割用)

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切断して長さを揃えた竹を4ッに割る。          さらに割る。

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節落とし。                     そろえて束ねる。

この割竹を壁の下地に編んで竹小舞とします。
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2003年12月05日

竹小舞を掻く

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住宅に使われる壁の下地というと、合板やプラスターボードなどの面材が広く使われています。釘で打ち付けてとめる乾式工法というものです。しかも釘打ち機といって、バンバンバンと鉄砲のように機械で打ち付けることもできます。
しかし、湿式工法の土壁の家では、下地となる割竹の竹は釘打ちでは割れてしまいますから機械で止めつけるわけには行かず、小舞い掻きはすべて手作業です。裂いて作った割竹をタテヨコにワラ縄でくくりながら編んで行きます。

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くくるために使うひもや縄はワラや麻、シュロなどですが、作業性からはすべりのよい、ビニールひもを使かっているところもあるそうです。ただし、どうもビニールひもはすべりが良いので作業性はよいらしいのですが、付着しずらいこともあって土との相性は悪いらしく、土が剥離しやすいという話を聞きます。下地といえども自然素材でないとうまくないというのは、理屈で云々以前にやっぱりね〜、といった感じがしますね。

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柱に梁と貫、そして細かく編まれた竹小舞、なんともいえない光の感じです。このままの状態を土で隠してしまうのがもったいないですね。
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2003年12月09日

荒壁付けと裏返し

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工事着工のときに敷地に寝かされていた荒木田土の出番が、ようやくやって来ました。寝ていた土に新たなワラを適量加え、こねて、混ぜ合わせ、竹小舞に塗り付けていきます。寝かされる前に混ぜられていたワラも腐っているようで、ちょっと臭いますね。固い繊維の部分だけが残っている感じです。

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まず、片面から塗っていくのですが、反対側にムニュッとはみ出してきます。これをコテで軽くなでて、竹小舞に引っかかりよく食いつかせます。

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この状態で、ある程度日数をとって乾かし(乾き加減はよく分かります)、反対側から同様に塗りつけていくわけです。これを裏返しと言います。これで、竹小舞をサンドイッチにした土壁サンドが出来上がり。
両面から土を塗ることは、小舞を挟み込むことによって土が落ちにくくなりますから、構造的にも、防火的にもが重要になります。

土壁の家は、柱と貫で造られた粘り強いカゴのような構造に、竹小舞を芯にして土で塗り固められ、丈夫な構造となりました。現場で見ていると木と土のそれぞれの特徴が活かされた造り方なんだと実感します。
そういった実感が、実験でも確認され、建築基準法の告示(平成15年12月)という形で構造的にも再評価されました。再び使いやすい技術として一般性を持ちえたと思っています。実は、こういうことって、そうとうに画期的なことなんですよ。
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